簡素 -simplisity-

2015.10.19

「建築家・吉村順三とアメリカ」、という建築ワークショップが開催されるので是非にとお客様にお誘いいただき、夫婦揃って出かけてまいりました。
旧軽井沢、木立の中に建つ脇田美術館。
その館に隣接する洋画家脇田和さんのアトリエ山荘は、1970年に吉村順三氏の設計で建てられたもの。
建築家、建築史家の先生方のトークは、吉村氏に関する資料や貴重なお写真を拝見しながら、あっとうまの2時間のワークショップ。
終了後には普段一般公開していないアトリエ部分の見学が行われました。

スライド内で紹介されていた吉村氏の言葉、アメリカ生活時代に影響をうけたシェーカーの言葉。
それにリンクしてくる空間の居心地の良さは、天井の低さ、無駄の無いキッチンの作り、建物の内と外との距離感の取り方にあるのでしょう。
住む人が楽に呼吸できる空間設計に、しばし、他人の家にお邪魔している事を忘れる。

簡素で華美にならない、清楚で品格ある家つくり。

簡素 -simplisity- シンプル、ミニマムと訳した意とは何かが違う。
一見雑多にいろいろなものがあるようで、よく見ると統一感があり、ひとつひとつ に人柄やセンスが感じられる空間。見た目には決してシンプルには見えなくとも、その人を取り巻くすべてのものに誠実さと愛情が感じられるのもは 「simplisity」と言っても良のでは。

吉村順三氏が影響をうけたシェカー教徒の言葉の数々が頭の中を廻ります。
「1000年生きるつもりで仕事をせよ。明日死ぬつもりで仕事をせよ。」
「美は有用性に宿る。」
「実用のない美はやがて不快になり、絶えず交換が必要になる。」

建築、デザイン、食、身体の事を生業としていた私たちが、matkaというスタイルでお店をスタートして今日でちょうど2年。
その間、沢山のお客様をはじめ、作家の方達、諸先輩方、友人、知人から沢山の言葉とヒントをいただきました。
昨日のワークショップでも沢山の事を学ばせていただき、私たちの思いにブレがない事を確信しながら帰ってまいりました。
未熟ながらも、matkaという小さな箱から、様々な想いを発信し続けてゆきたいと思っております。

1年後の3周年、そして10年、20年と、簡素に、simplisityに。
おひとり、おひとりの生活に寄り添えますように。

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