器と月餅

2015.01.24

偶然的な出逢いには、何か特別なものを感じてしまう。

先日、都内への出張の途中、たまたま知った「西川治が世界で集めた食器バザール」、写真家、文筆家、画家、そして料理人として活躍する西川治さんが、これまで50年に渡り世界各地で集めてきた食器を一大放出という企画展。
予定には無かったものの、如何しても行きたくなる衝動に駆られ、閉店間際で何とか滑り込み。
週末には西川治さん×日野明子さんのトークイベントもあるようで、私達がお邪魔した企画展初日にはお二人の姿もありました。

会場を埋め尽くすうつわ達はみな一点もの、いくつか気になるものがありましたが、悩んだ末に連れて帰ってきたうつわは写真のもの。
西川さんが気さくに話しかけて下さったので、此方は?とお尋ねすると、「うーん、明治頃のー、金沢のむこうのー...」。お酒が程よく回っていたのか、記憶がちょっと曖昧な感じ。
色の感じや、高台の角福、青手九谷のようなのですが、素性はわからずとも大変気に入って、西川さんもおっしゃてた「ふにゃふにゃーと描かれてるのが良いでしょう。凄く手が良い。」、の言葉の通り、大胆に描かれた模様に華やかな色、そしてこの出逢いが大切なのかなと。

もうひとつ。
会場で振舞われたお料理はどれも美味しくて、ツイツイ欲目がでてしまい、卑しくも大好きな月餅を一つポケットに忍ばせて帰ってまいりました。
今朝になって気づいたこと。
以前友人からお土産でいただき、あまりの美味しさにどちらの月餅なのか、事あるごとに探していたものでした。
この日の出張先は、その友人が一緒に行きたいと話していた場所。
願いを叶えてあげる前に遠い空の人となった友人。
きっと西川さんの企画展も、知れば行きたがっただろうなと。
そんな彼女が引き合わせてくれた器、月餅なのかもしれません。


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